マレーシア植林紀行
〜フタバガキを植える人達へのエール〜

7.シュプレッヒコール

テントに着くと先ず各班の班長が集められて植林地の担当区を決める。二班々長Tさんが戻ってきた。5ブロックだという。ここから一番遠い。それからマレーシアの関係会社の人達を紹介された。男性2人、女性3人の合計5人である。この人達が我が班に加わって14人の混成チームを組むのである。(この後、H団長が第二班に加わり、インストラクター役のSAFODAの女性森林官を入れて総勢16人となる)

突然、テントの中で「ワッワッワッ〜!ワッワッワッ〜!」と雄叫びが上がった。第班が円陣を組み、全員が片手を陣の中央に突き出して、いざ出陣の奇声を上げているのである。最初は他の班の連中はニヤニヤしながら、くすぐったそうにこの光景を見ていたが、そのうち別の班からも「ワッワッワッ〜!ワッワッワッ〜!」と叫び声が上がった。二班は何となくバツが悪くなった。「〜ンなら、一発やってやろうかぁ〜」という訳で円陣を組んだ。音頭取りはマレーシアの益荒男(ますらお)Oさんである。この人は太って体も大きいし声もでかい。それに初めて会ったばかりなのに何となくひょうきんで、こんな役にはぴったりだと思ってしまうから不思議である。Oさん、指名されて最初は体をよじって照れていたが、手を円陣の中央にぐいと突き出すと、顔がキリリと締った。何か呪文のように口の中で一言二言呟き、そして、ついに吼えた。「f△○▼¥〜ッ(会社の名前)!ワッ!ワッ!ワッ!」「サァフォダッ!ワッ!ワッ!ワッ!」(私には会社の名前がこの様に聞こえた。当社はネイテブイングリッシュで「f△○▼¥」と発音するのだ!)我々はマレーシア・サバ州の森で獣のように雄叫びを上げた。「f△○▼¥〜ッ!ワッ!ワッ!ワッ!」「サァフォダッ!ワッ!ワッ!ワッ!」 顔が赤らんだ。気合で気持ちが高ぶったからではない。やっぱり、恥ずかしかった。

 SAFODAの女性森林官とT班長の後について、第二班は鍬や穴掘り道具を担いでぞろぞろと目的地に向かった。赤土の作業道路は熱帯の太陽に炙られてカラカラに焼け上っている。引きずる足元からポッポッと小さく土煙が上った。

     
マレーシアの現地会社社員と合流         植林地第5ブロックへ行軍する第二班       一作業終えて休憩。現地の社員と交流をはかる
右端の人がシュプレッヒコール           何しろここはベースキャンプから遠いのだ
の音頭をとったOさん

<植林地の風景>に続く