マレーシア植林紀行
〜フタバガキを植える人達へのエール〜

9.植林地の植物(1)

森の中の様子を説明すると概ね次の様になる。

高木層の優先種はアカシアマンギョウム(マメ科)である。過去に裸地化した森にこの木を植えたのだから当然である。植えて何年くらい経つのだろう? 幹の胸高直径はせいぜい20cm位で、まだ若い感じである。樹高は10〜15m程でひょろ長く枝を伸ばしている。アカシアといっても日本でみられるニセアカシアのように複葉ではなく単葉、幹の色は灰褐色である。ガイドのタデウスさんの話では、この木は30〜40mまで成長しパルプ用材や家具作りに利用するのだそうだ。

 低木層や林床の草本類は、何となく日本の照葉樹林内に似ていた。サカキ(ツバキ科)にそっくりな木や、葉が大きくて厚いゴムの木の種類、林床にはゼンマイに似た羊歯類の葉が生えていた。

 熱帯雨林で想像していたじめじめとした感じは全く無い。林内はからっと乾いて日本の照葉樹林よりは余程明るい感じである。蔓性の植物も生えていなくて、藪こぎをしなくても隣の地ごしらえ地まで楽に歩いて行くことができる。林床には陽が射し込んでチガヤ(イネ科)やワラビも生えている。何と奥まで植え下った開けた谷地には、背の高いワラビの大群落地があった。青々と逞しく育ったワラビの茎の先に美味しそうな新芽がついている。ワラビは日本の寒い雪国の特産だと信じていたのに、ここ熱帯のボルネオにもかくも立派なワラビがあるとは・・・。タデウスさんに聞くとこちらでもワラビを食べるという。そして固くなった茎の皮は編んで籠を作るのだと説明してくれた。肝心のワラビの料理方法は聞きそびれたが、やっぱりおひたしにしてカツオブシを振りかけたりして食べるのだろうか?ワラビにカツオブシは私の大好物である。

   
移入種アカシアマンギョウムの森       何と熱帯に雪国の特産ワラビが!
紙を漉いたり、家具の材となる      やっぱり、おひたしにして食べるのだろうか?

<植林地の植物(2)>に続く