マレーシア植林紀行
〜フタバガキを植える人達へのエール〜

13.森林土壌と土壌動物

植林地は、貧しい土質である。土壌の発達がほとんど見られない。山腹や尾根筋には殆んど堆積有機物層と言われる腐葉土の混じった土がない。フタバガキを植えるために25cm程の穴を掘るが、落葉の下はわずか数センチの黒土、そのすぐ下から全く腐植が見られない赤土の鉱質土層である。熱帯雨林は高温多湿のため有機物の分解が早い。そのため森林土壌は薄い、とは聞いていたが、これ程とは思わなかった。原生林を伐って禿山となり、その薄い有機質土壌も雨で洗い流されてしまったのだろう。これではせっかく降った雨も土中深くは浸透せず、表流水として直ちに谷に流れてしまう。事実、アカシアマンギョウムの林で若い立ち枯れの木が目立つ。うっかり手を掛けると実にもろく倒れてしまう。共倒れになりそうである。虫害や動物の食害ではなく、水分不足による枯死木と考えられる。
 しかし谷に近いところは土が軟らかく楽に掘れる。斜面上部からの表層土が流されて溜まっているのだ。この辺りを掘っていてミミズを2匹発見した。1匹は白いミミズである。まるで回虫のようだった。もう1匹は普通の赤いミミズである。いずれも小さなミミズだが土壌の発達を促す貴重な生き物たちである。

  
赤土の鉱質土壌。ここは土壌が貧しいのだ     フタバガキの植え穴
                           谷側の土壌はいくらか腐植に富んでいた


<植林地の森林生態系>につづく